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歌詞

silence

silence

 


終わりにすると決めたら

あなたは居なくなると思っていた

あるいはいつの間にか

私の中から抜け落ちている、みたいな

 


消えなかった

杞憂だった

 


泣きたくなるのは

すべてを思い出して

 


そうなるべくして

今日の様になった

そんなこと、もうとっくの昔に

体験済みで理解

それなのに、今更

過去のあなたが

夢の淵、その入江のすぐそばに立って

語る、曰く

「それは今日の僕でもある」のだと

つまりは同じことなのだ、と

 

 

 

あなたの居ない明日だって

それなりに悪くはない

 


思いもしなかった衝撃は

16番目の絵の様に

あの夏の夜、それは一瞬で

心を貫いて、幼く痛い幻想を打ち砕く

雷鳴はあなたの声と言葉で成った雷

 


今となっては懐かしいけれど

されど、生々しく今も疼く

そして、私を支える痛み

 


喪失と獲得も、またセットだと

それをはじめて言葉にして

聴かせてくれたのも

あなただったね

 


泣きたくなるのは

すべてを思い出したから

 


そうなるべくして

斯く在る

そんなこと、わかっているよ

すべては自分次第

私の選択をもって、この一瞬を生きてこそ

 


だけれど、今日も今日とて

過去のあなたは

だからこそ、易々と時を飛来しては

今を生きる私の傍に立って

語る、曰く

「それゆえの僕」、なのだと

つまりはずっと

 


決して消えることはないのだと

居なくなることはないのだと

 


終わりにすると決めたら

あなたは居なくなると思っていた

 


居なくならなかったね

 


あなたは消えなかった

それは多分、私が呼ぶ限り、ずっと

あるいは、私が本当に、

もう想うことすらなくなった後も

 


いつか、

 


そうなるべくして

今日の様になった

そんなこと、

晴れ晴れと言える時は来る

それが当たり前の有り難さと知る瞬間も

手には私の意志で働く羅針盤

 


過去のあなた、あるいは夢の瞬間

現在、私の傍に立って

謳う様に、曰く

「それは、いつの僕でもある」のだと

瞳に映る私、その私の瞳にきっと映って、

あなたの見るあなた

ずっと待っていた、けれど

然らば、

つまりは本当はもう

 


それは、そう

皆とっくに起きていて

 


つまりはそう、

すべて同じことなのだと

ton soleil

握ってくれた掌の熱

どれだけ嬉しかったか

あなたは分からない

知る由もない

 


指先をぎゅっと掴んでくれた

その感触

生まれる前からずっと

私が欲っしていたもの

願っていたもの

 


そんな事

あなたは知るはずもない

 


夢を見ているみたい

だけど現実

あれは

私がいつも見ていた

そらの記憶なんかじゃなく

あなたも持っている

昨日の想い出

 


神様に祈るみたいに灯る

夜空に浮かぶその部屋の明かりの数だけ

生命の記憶が息衝いて

紡がれている

 


あなたが今誰と居て

どんな風を感じているか

遠くに聴こえる花火の音

あなたがどこかで見ていて

楽しんでいたらいい

 


あなたは孤独なんかじゃないよ

あなたが不特定多数のひとりのきみを

想って歌う様に

私はあなたに言うよ

どうか、笑って

いつだって幸せであって

 


ありがとう、と書かれた

私の名を添えて

あの日、届けられた手紙

どれほど嬉しかったか

あなたは知らない

 


いつだってあなたを思っている

オンリーワンに贈る想い

それはビギナーズラックみたいなもの

ただし、絶対は約束されてはいない

確かなのは、これだけ

此処に生まれ

名前なんかないまま

強く、しなやかに育った

私の心臓が脈打つ度

送られる血液の色より

ずっと鮮やかで、芳しく

生々しい

私の魂まで、もう紛れ込んでしまった

あなたへの

 


抱きしめてくれた

私を探して、見つけてくれた

その瞬間、泣いてくれた

これは、あの日見た夢の話

私しか持っていない、嘘の記憶

だけど、やっぱり嬉しかったよ

 


昨日、私の瞳から零れ、伝った涙は

左頬だったけれど

それでも、私は

やっぱり、嬉しかったよ

 


あなたがくれる感情なら

どんなものも

私のなかでは幸せの欠片

それを糧に私の魂はこの世界で

ただ一度きりの生命を生きる

その意味を知る

 


そして、私はわたしに成って

ワタシに還っていく

それは、なんて

幸福なこと

 


それは、まぎれもない奇跡

私のまえに顕れた

あなたのかたちをした

正真正銘のみことば

私だけの生命の意味

 


あなたの名を口にする時

其処にあなたは居ないけれど

いつか見た夢のように

どこかできっと、届いている

それを信じてわたしは

今日もきっと、歌う

今日をそっと、大事に

生きていきましょう

昨日よりも強く、

明日よりも、確かなイマを

どこかで同じ様に

きっと、歌っている

あなたが居る

今日を切に生きている

それが、どれほどの力と救いに映るか

あなたは知らない

 


「いつか」、その瞬間のために

私はまだ私を保っている

いつか、その瞬間の味を

私はまだ知らない

でも、きっとそれは

一生を懸けるにふさわしい

 


誰しもが求めて止まない

私が生まれる前から探してきた

求めてきた

それは、きっと

愛に似た何か

逢いにいくよ

 


昨日、涙の選んだ場所は左だったけれど

その瞬間は必ず、右の瞳を通うでしょう

それは、明日かもしれないから

私はまだ生きている

生きていく

 


愛してる

その瞬間を得るために

あなたに、

逢いにいくよ

 


届いた音と言葉の持った熱

どれだけ嬉しかったか

あなたは知らない

どんな音と言葉を

私にくれたか

あなたはまだ、知らない

 

 

 

あなたとはじめて

出逢うとき

私はどんな音と言葉を

あなたに贈るか

あなたの瞳、どんな彩と熱を

映すのか

まだ、知らない

 


まだ、知らない

Vergesslichkeit

風誘う花きみに

あてた香りひらく

その声たよりに

気付くは誰(た)の心の芽

 


うつる季節に紡ぐ泡沫は

そらに煌めく

星に見る影はたそかれ

交わす約束伝う

祈りはいつかのあなたに

尋ねる、あかし

かの人、いま何処

 


花散らす雨不意に

疾る光の裂く声

さあ、

ここにおいで

 


風誘う花きみに

贈る香りひとつ

その時心に浮かぶは

誰(た)の記憶でしょう

 


託す生命はめぐる

いつかのあなたのその瞳に

届いて名も失せし

懐かしき人の

夢に息衝く

浮かぶ水面の満月に手向けよう

行方も知らぬ

流れの軌跡に預けて

唯一つきりの

この心をここに

May Day

泣いているわたしを置き去りにして

いま

そうすればわたしは

あなたを一生想うことができる

 

いま怯えて、生きていること

待っても、やり直しも

ましてや選手交代の主張も効かない

この圧倒的な生を前にして

この身体の内側から鳴り響く

その鼓動の、あまりの力強さに

震えているわたしを

どうか置き去りにして行って

そうすればわたしは

運命とか、そういう力のせいにして

あなたやわたしを

諦めることができる

 

優しさは本来、とても良いもの

柔らかくて、あたたかくて、いい香りのする

目に見えぬかたちも、ぬくもりもある

安心をくれるはずのもの

「残酷と似て非なるもの」

そう思ってしまっている、

わたしがきっと可笑しいの

 

信じてと

あなたは何度も繰り返す

その度にわたしは混乱する

 

世界に溺れて

踠いて、足掻いて

動けば動くほど、何かが起こる

それが良いことなのか、悪いことのなのか

こんな頭では何も考えられない

あなたの現実はすべて

過去のあなたが望んだことなら、

わたしは、いつ

一体どうして、 どこで、こんなに

 

諦念の皮を被った骨抜きのかなしみ

惰性に甘んじて尚、燃え続ける

嫉妬に生殺しにされ

羨望に焼かれるこの日々

すっかり染み付いた負け犬根性を抱えたまま

それでもまだ、生きている

そんなわたしをずっと持て余したまま

 

時間は平等に過ぎていく

リセットの効かない若さを

悪戯に消費しても

誰も何も言わない

そこに誰も居ない

 

ただ幸せになりたかった

そう、望む反面

それを恐れる自分が居る

相手はなにも考えてはいないのに

浮かび、透けて見える言葉はいつだって

冷え冷えと尖って

わたしを容赦なく刺してくる

それもすべでわたしがわたしに見せる幻想

たとえ正しくとも選べばよいこと

どう生きるか、どう現実を歩むか、どの未来を選択するか

わたしにかかっている

 

何も保証もない

まだ5月なのに聴こえる蝉の声

7月の季節にどんなわたし、

そして、あるいはあなたが見えるでしょう

一番傍に居て欲しい、近くに行きたい

辿り着きたい世界、そこで叶えたいこと、

共有したいせかい

すべてはまだ終わっていないから

きっと、生きている限りは、屹度

 

祈りは愛そのもの

きみの歌は希望

きみは、わたしの未来そのもの

生きたいと望む本能、その灯火に宿る芯

次の一秒へわたしを動かす欲そのもの

泣いているわたしを置き去りにして

いま

そうすればわたしは

あなたを諦めることができるのに

 

本当にあなたは

優しくて、お人好しで

臆病のお面を被った最強のヒーロー

 

その魂に輝く星を、ずっと

わたしは望んで、見つめている

生まれる、ずっと前から

 

わたしの名を呼んで

どうか、あなたの音で

 

きっと、もうすぐ会える

そんな気がするの

 

 

Lyra

あなたの名に私の舌が触れた瞬間

わたしの髪は逆立ち、めぐる時空に放り込まれた

わたしの魂が大きく震えたあの日から

あなたの名を口にして想う度、私のうちは満たされる

知らない、いつかの光に

 

閉じた瞼の世界に浮かぶ星は 

いつだって私の祈り

うなじにかかる銀色の粒子は

幸せのかたち

 

幸福の王子

 


「愛してる」、この美しい音を聴いて

私のはまだきっと、たどたどしいけれど

この言葉にすべてを注いで送っています

星のように煌めくあなたに最上の幸福よ、あれ